――妹を探す旅がSF×サスペンス×ミステリに広がる!
2025年に宝島社から刊行された松下龍之介さんの『一次元の挿し木』。
このミス文庫グランプリを受賞した作品です
遺伝学研究室の大学院生・七瀬悠(はるか)が、失踪した義妹・七瀬紫陽(しはる)を追い求めるうちに、骨、DNA、宗教、そして巨大な陰謀へと巻き込まれていく物語です。展開はまるでジェットコースター。ぺんぎんも読んでいて「次のページ!次のページ!」と止まりませんでした。
あらすじ(ネタバレなし)
大学院生の七瀬悠は、4年前に姿を消した義妹・七瀬紫陽を探していました。彼女を諦めさせようと義父が開いた葬式で、空っぽの棺桶を叩き割った悠は「紫陽を見た」と叫ぶ。
同じ頃、研究室にインドの「骨の湖」から持ち込まれた200年前の女性の骨。そのDNAを解析すると、驚くことに紫陽と一致してしまうのです。
妹の行方を追うはずが、悠の前に現れるのは殺人、陰謀、迫る敵――。すべてをかき乱すようなドラマが待ち受けていました。
読んだ感想
まず何より、展開がとにかく速い! 一つのシーンが短くてドラマチック、テンポ感は現代のショートコンテンツ世代にぴったりです。
それでいてきちんと文庫本一冊分の分量があり、つまり「それだけ大きな謎を抱えている」ということ。妹の行方から骨の謎、そして妹の正体の謎へ。物語は広がり続け、気づけばとんでもない場所まで連れて行かれました。
助手役の唯がまた良いキャラ。軽妙で小生意気な年下女子とダウナーな主人公の組み合わせ、好きな人は絶対好きだと思います。唯と紫陽の関係性が明かされるフェーズ、つまり、なぜ唯が悠を助けるのかが分かってくるフェーズは、ぺんぎんてきには泣いちゃいました。つらい、つらすぎる。そりゃあ、執着もしますわな。
そして最後には「妹を失って無気力だった悠」が、自分の心に折り合いをつけて成長していく。その変化を見届ける満足感がありました。ぺんぎんも胸が熱くなりました。
作品の特徴
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ジャンルミックス:ミステリ×サスペンス×SF。宗教要素も絡み、物語のスケールが大きい。
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読みやすさ:文章がすっと頭に入ってきて、映像的に読めるタイプ。脳内映画を見ている感覚で没入できます。
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構成:章ごとに視点が変わり、新しい情報が明かされていく群像劇的スタイル。主人公が知らないことを読者が先に知れるのも面白い仕掛け。
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情緒性:妹・紫陽との思い出シーンは退廃的で美しく、湿度のある文体が印象的。朝露に濡れた紫陽花のように繊細な雰囲気があります。
※ネタバレ的補足:タイトルの「一次元の挿し木」は紫陽花の増やし方から来ており、そこに仕掛けが潜んでいます。真相はSF+宗教なので、人によってはもやっとするかも。ぺんぎんも少しだけ「ん?」となりました。でも、物語としての面白さで十分にお釣りが来ます!
こんな人におすすめ
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スピーディな展開に乗っかって物語を走り抜けたい人
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サスペンス・ミステリ・SFのジャンルクロスが好きな人
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主人公とヒロイン(助手)の掛け合いが好きな人
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「群像劇っぽい謎解き」が好物な人
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対象外ですが、電子でも紙でもテンポよく読めるのでどちらでも楽しめます。読書初心者でもすらすら進められるので安心。
まとめ
『一次元の挿し木』は、ミステリ好きもサスペンス好きもSF好きも楽しめる、欲張りな一冊でした。
「妹に会いたい」というシンプルな動機が、大きな謎と陰謀に飲み込まれていく。そのスケール感にぺんぎんもすっかり振り回されました。
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